氷河の律動に従って、瞬が か細い声を洩らす。 歓喜に喘いでいるには違いないが、糸のように細い瞬の啜り泣きが、間断なく氷河の耳を楽しませていた。 否、氷河は楽しんではいなかった。 瞬の乱れる様に ある種の満足感を覚えてはいたが、それは楽しみと呼べるような感情ではなかったのだ。 瞬を解放し、その横に仰向けになる。 荒ぶっていた息が治まりかけてから 横目で瞬の様子を窺うと、瞬はまだ交合の際の余韻が引いていないらしく、きつく瞼を閉じ、唇を薄く開いて、それでも声を洩らさぬように、その胸を上下させていた。 身体の中心に まだ疼きを残しているのだろう。 あと1、2度くらいは許してもらえそうな気配だった。 瞬が平生より昂ぶっているのは、明日から始まる戦いの予感のためなのだろう。 「……瞬」 瞬の耳許でその名を囁くと、瞬は なぜか ほっと安堵したような表情を浮かべた。 瞬の中の余韻が完全に消え去る前に、氷河は再び瞬の上に覆いかぶさった。 それは 前戯と呼ぶべきものなのか、それとも後戯と呼ぶべきものなのか――いずれにせよ、もう愛撫は不要だった。 瞬の身体は熱い。 手の平でゆっくりなぞるだけで、それは 大きく うねり、しなる。 氷河が身体を進めると、瞬と瞬の心身は、自らと自らを抱く男の中に 甚だ深い歓喜を生じせしめる。 接合による痛みなど呑み込んで、実際より幼く見える瞬の少女めいた面差しは、陶然と この行為に酔っていた。 |