プロデビューと上京を決意したメイドロボたちが、東京に旅立つ日がやってきました。

メイドロボたちが自分たちで決めたことなのですから止めるつもりはなかったのですが、瞬はとても寂しそうにしていました。
それどころか、晴れの旅立ちの日だというのに、メイドロボたちの顔も暗く沈み込んでいるのです。


瞬とメイドロボたちのそんな様子を見た氷河が黙っているはずがありません。

芸能プロダクションが回してよこした車に乗り込もうとするメイドロボたちに向かって、氷河は怒鳴り声をあげました。
「おまえら、本気で、ゲーノー界なんかにデビューして、本物のスポットライトを浴びて、テレビに映って、金を稼いで、休む間もなく見世物になって、リムジンなんか乗りまわすようになったあげく、人気が下り坂になったら、くたびれたドサまわりタレントになって、『昔はよかったね〜』なんて過去の栄光を懐かしむような人生を送りたいのかっっ !? 」
――と。

「そんなことを考えるなんて、馬鹿げてるぞ! おまえたちがいなくなったら、瞬がどれほど寂しい思いをするか、そんなこともわからないのか、おまえたちはっ !! 」

『おまえたちの進む道を決めるのはおまえたちだけだ』
なんて言っていたのは氷河だったのですが、瞬とメイドロボたちの寂しそうな顔を見て、いつまでもそんなまっとうな理屈を振りかざしていられる氷河ではありません。

まして。
瞬だけならまだしも、自分たちで芸能界デビューを決めたはずの当のメイドロボたちが、ちっとも嬉しそうではないのです。
瞬の思考回路を熟知している氷河は、メイドロボたちが何を考えて芸能界デビューを決意したのかもちゃんとわかっていました。






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