「ところで、氷河。どうして小人さんたちを止めたの?」
「ああ。小人たちが手を洗って、うがいをして、非常用食料を食べて、昼寝している間に、あの迷子札を調べようと思ってな」

氷の国星の小人たちがストーリーを進展させるつもりがないのであれば、ここは周囲の人間が行動を起こすしかありません。
氷河の言葉に、瞬は頷きました。

「そっか。そうだね、今のままじゃ、何もわからないものね」
「グラード・メイドロボ・コーポレーションのネットワークにアクセスしてみる」
「あそこなら手掛かりになる情報があるかもしれないね」

グラード・メイドロボ・コーポレーションのコンピュータ・システムとそのデータベースは、まず間違いなく、地球最高にして最大かつ最新のものです。
地球でわかることは全て、グラード・メイドロボ・コーポレーションのシステムでわかりますし、グラード・メイドロボ・コーポレーションのシステムでわからないことは、地球の他のどこに行ってもわかりません。
グラード・メイドロボ・コーポレーションのネットワーク・システムは、それくらい巨大で、そして、スーパースペシャル極秘デラックスなシステムでした。


「──というわけで、おまえたちの迷子札を一時預からせてもらう」

「了解!」
「各自、迷子札用意!」
「隊列、一列縦隊へ」
「ラジャー!」
「位置につけ!」
「よ〜い、どん!」

氷の国星の小人たちは、迷子札を氷河の手に渡すのにも、いちいち軍隊並みに隊列を整え、お役所並みに手順を踏みます。

ともあれ、そんなふうにして、順序良く氷河の手に迷子札を預けた氷の国星の小人たちは、今度こそ、手洗いとうがいをするために、洗面所に向けて出発することになったのでした。







【next】