「とりあえず、これを中に運んでしまおう」

お布団を抱えっぱなしの氷河にそう言われて、洗濯物を抱えっぱなしの瞬は、こっくり頷きました。
「うん。ちょっとびっくりしたけど、これで氷の国星の小人さんたちも、氷の国星の氷河さんのとこに帰れるんだね」

突然空に現れた超巨大宇宙船には驚かされましたが、その主が、あの元気な氷の国星の小人たちの氷河だというのなら、何も心配することはありません。
氷の国星の小人たちも、やっと、彼等の氷河のところに帰れるのです。

瞬は、超巨大宇宙船とその主を、迷子のお母さんと同じレベルで捉えていました。

「全てが平和的に済めばいいがな……」
なにやら不吉な事を呟く氷河は、布団にシーツを被せるべく奮闘中です。

「え? 何か言った?」
「……いや」
杞憂に終わるかもしれないことを、氷河は、わざわざ瞬に告げようとは思いませんでした。。
今の彼は、それどころではありませんでしたしね。

「氷河、まずシーツは裏返してからでないと、ちゃんとベッドメーキングできないよ」
「ん……ああ、こうか?」
「それで、シーツの隅についてる紐と、お布団についてる紐を結んで」
「よし、結べたぞ」
「そしたら、結んでくっついてる所からシーツをお布団に被せて」
「こうだな」
「そうそう、で、次はこっちの方も紐を結んで、そしたら、あとはお布団がシーツの中で片寄ったり、たるんだりしないようにして」
「なるほど」
「僕がこっち側持つから、氷河はそっち側を持ってて」
「わかった」

ばふばふと2、3回お布団をならして、今夜の二人の閨が無事に出来上がりました。

たとえ、明日、世界が滅びるのだとしても、人間は今夜も眠るのです。
それは大事なことなのです。







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