さて、氷の国のおもてなしに感動したたれたれ瞬ちゃんは、小人たちに素敵なお返しをくれたのです。
それは、なんと、エベレストサイズのシフォンケーキ!

目の前に出現した、自分たちの何倍もの高さのある大きなケーキに、小人たちは大歓声をあげました。

「わあ…っ!」
「た……食べてもいいの?」
「ほんとに?」
「ほんとに、これ全部?」

あんまり嬉しくて小さな心臓をどきどきさせている小人たちに、たれたれ瞬ちゃんはにっこり笑って言ってくれました。
「小人さんたち、さあ、召し上がれ」

「わーい !!!! 」× 15

たれたれ瞬ちゃんにそう言ってもらえた小人たちは、脇目もふらずに、シフォンケーキに突進です。
夢のようなシフォンケーキに、それこそ体当たり!


8号は、はむはむはむはむ食べながら、シフォンケーキに階段を作って、エベレストシフォンケーキ初登頂!
「トランポリンみたいにふわふわだ〜v」
ケーキのてっぺんで、ぴょんぴょんふわふわ飛び跳ねて遊んだ8号は、それから、
「よーし、僕はこれから地底探険に行くぞー!」
という勇ましい掛け声と共に、今度は頂上から下に向かって食べ進み始めました。

ところが、そこで大事件!
地底探険に挑んでいた8号は、シフォンケーキの5合目付近から横穴を掘りながら食べ進んできた3号と、頭をごっつーん☆ とぶつけてしまったのです。

なにしろ、一心不乱に猪のごとく――もとい、うり坊のごとく――勢いよく食べ進んできていた二人が頭をぶつけてしまったのですから、それはもう痛いの痛くないの、死ぬほど痛かったのです。

二人は、ケーキの通路の真ん中で、
「あーん、あーん、あーん 。・゚゚・(>_<)・゚゚・。 !!!! 」
と泣き出してしまいました。

けれど。
そんな二人を見た12号が、厳しい声で3号と8号を叱責。
「3号、8号、泣いちゃ駄目っ! せっかくのふわふわシフォンケーキが、しけっちゃう!」

3号と8号は、もちろんすぐにぴたっ☆ と泣くのをやめました。

本当に、なんて立派なことでしょう!
小人たちは、ケーキを美味しく食べるためなら、あふれる涙をこらえることもできるのでした。


そんな小人瞬たちを眺めながら、たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんはにこやかに微笑んでいます。


そして、もちろん、もう一人。

(可愛い…! 確かに可愛い! しかし、合体したら、俺にとって、もっともっと可愛い瞬ができあがるはずなんだ…… !! )
小人たちの可愛らしさに感動し打ち震えながら、相変わらず複雑怪奇気分な氷の国の氷河は、胸の奥の涙をぐっとこらえているのでした。