「あーゆー目で見詰めたら、小人たちはいつも俺にうっとりして、おやつのことも忘れてくれるに違いない」

「やはり、男は、小人たちがどんなに可愛くても、へらへら笑っていない方がカッコよく映るんだろーなぁ」

「目は口ほどにものを言うそうだし、お喋りな男もうざったいものかもしれないぞ」

等々、いろんなことを考えながら、氷の国の氷河は、無口でクールでセクシーなたれたれ氷河さんを、毎日じっくりしっかり観察し続けました。
そして、時々、その実践行為にも挑んでみたのです。

小人たちを15人テーブルに並べて、じっと見詰めてみたり、小人たちがどんなに可愛いことをしても、ぱかぱか笑わないように気をつけてみたり。

氷の国の氷河は、たれたれ氷河さんの真似っこをしながら、自分は少しずつ、無口でクールでセクシーな男になっていっているものだと思っていました。
だって、無口でクールでセクシーなたれたれ氷河さんの真似をしているんですからね。

氷の国の氷河は、大事なのは表面上に現れる言動などではなく中身なのだということが、ちっともわかっていなかったのです。
それに、人には、長い時間をかけて培われてきた体質・雰囲気というものがあります。
氷の国の氷河は、もともとクール体質でも、セクシー体質でもありませんでした。
そんな氷の国の氷河がクール&セクシーの真似事をすると、とんでもないことになります。


小人たちは、すぐに、氷の国の氷河が“変”になってしまったことに気付きました。