小人たちは、でも、ここで無為に落ち込んでいるような暗さの持ち合わせはありませんでした。
小人たちはいつも前向き。
そして、自分の気持ちに正直でした。


氷の国の氷河がたれたれ氷河さんに恋(;;)をしているのだという結論を出した小人たちは、即座に氷の国の氷河のところに駆けていって、その恋を思いとどまるように説得を開始したのです。

「氷河。たれたれ氷河さんには、たれたれ瞬ちゃんがいるから、氷河の恋は報われないよ」
「氷河、だから、たれたれ氷河さんじゃなく、僕たちを見て……!」
「たれたれ氷河さんより僕たちの方が、ちょっとだけ可愛いでしょう?」
「ダンスもできるし」
「お歌も歌えるし」
「このつぶらな瞳」
「バラ色のほっぺ」
「キュートなヒップ」
「(シロップで)濡れた唇」
「何より、僕たちは氷河を誰よりも愛してるの!」
「氷河、お願い、僕たちを見てーっっ !!!! 」× 15

「へ…… !? 」

なぜ小人たちが突然そんなことを言い出したのか、氷の国の氷河には、まるで訳がわかりませんでした。
訳がわからないことに答えることはできませんから、氷の国の氷河は、小人たちの前できょとんとするばかり。

いつまで待っても、報われない恋を諦めると言ってくれない氷の国の氷河に、小人たちは絶望的な気分になってしまいました。

『俺が好きなのはおまえたちだけだよ』なんて贅沢は言いません。
小人たちは、でも、せめて、氷の国の氷河に、『おまえたちがいてくれれば、俺はこの恋を諦めることができるよ』くらいのことは言ってほしかったのです。

でも、氷の国の氷河はいつまで経っても無言、無反応、ぽけら〜☆

「氷河……どうして何も言ってくれないの……」

小人たちは、沈黙による拒絶という氷の国の氷河の答えが辛くて、それ以上何の言葉も出てきませんでした。

「あーん、氷河のばかぁーっっ !!!!!! 」× 15

ついに辛い沈黙に耐えることができなくなった小人たちは、泣きながら、一列縦隊で氷の国の氷河の前から走り去ってしまったのです。