小人たちは、今日も元気いっぱいです。 たれたれ瞬ちゃんも、小人たちのために、毎日腕をふるってくれています。 おかげで、たれたれさん宅にいる間に、小人たちの体重は毎日5グラムずつ増えていました。 もっとも、毎日元気に遊んでいるので、その5グラムはあっという間に元に戻ってしまうんですけどね。 小人たちは、今日は、たれたれさん宅のキッチンで、たれたれ瞬ちゃんのお手伝い(?)をしながら、キッチン基地防衛隊ごっこ。 小さな小さな小人たちには、たれたれさん宅のキッチンはとても素敵な秘密基地だったのです。 「こちら、あったかいところのキッチン冷蔵庫脇基地の4号。ただ今、たれたれ瞬ちゃんが、ケーキの生地をまぜまぜしています、どーぞー」 「こちら、あったかいところのキッチンオーブン前基地、13号。テーブルの上にバナナとイチゴがあります、どーぞー」 「察するに、たれたれ瞬ちゃんは、フルーツで飾りつけたデコレーション・ケーキを作っているものと思われます、どーぞー」 「あ、たれたれ瞬ちゃんが、こちらにやってきます。スポンジを焼き始める模様です、どーぞー」 「焼き時間は何分にセットしましたか、どーぞー」 「40分です、どーぞー」 「わー、楽しみですね、どーぞー」 なーんて、キッチン基地はとても賑やかです。 ところが。 「き……緊急事態発生! 緊急事態発生!」 楽しくて、いい匂いのする秘密基地で、大事件が発生してしまったのです! 「あったかいところキッチン流し台下基地の8号、応答せよ! 緊急事態とは何か、報告せよ!」 「8号、応答せよ、8号!」 8号が危機に直面しているらしいことを知ったキッチン基地防衛隊員は、小さな手の中の見えないトランシーバーに向かって必死に呼びかけます。 けれど、8号は、仲間たちの呼びかけにまともに答えられる状況ではありませんでした。 勇敢なキッチン基地防衛員8号に襲いかかった危機とは、 「わ〜ん、リリィちゃんだー !!!! 」 だったのです! 「きゃ〜〜〜っっっ !!!!!! 」× 15(内訳:8号の悲鳴を聞いた防衛隊員14人とたれたれ瞬ちゃん) 「なっ……何事だっ !? 」 「おまえたちっ、何が起こったんだーっっ !! 」 小人たちとたれたれ瞬ちゃんの悲鳴が終わる前に、キッチンに駆け込んできたのは、居間で氷河同士の話し合いをしていた、たれたれ氷河さんと氷の国の氷河でした。 「わーん、氷河―っっ !! 」 たれたれ瞬ちゃんが、疾風のように現れた正義の味方の胸に飛び込んでいきます。 何が起きたのかを察したたれたれ氷河さんは、泣きべそをかいているたれたれ瞬ちゃんをクール&セクシーに抱きしめてあげました。 「俺が来たからには、もう大丈夫だ」 たれたれ氷河さんは、たれたれ瞬ちゃんを抱きしめながら、実は内心でVサインをしていたのですが、もちろん、たれたれ氷河さんはそんなVサインのことなんか、おくびにも出しません。 たれたれ氷河さんは、なんったって、クール&セクシーが売りですからね。 一方、氷の国の一団はというと。 「あーん、あーん、あーん !! 」× 15 当然、たれたれさん宅の二人のようにうまい具合にはいきません。 逃げまどう小人たち。 スリッパを持って、リリィちゃんを追いかけ、びしっ★ ばしっ★ と、空振りばかりしている氷の国の氷河。 たれたれ瞬ちゃんの肩をクール&セクシーに抱きしめていたたれたれ氷河さんは、へっぴり腰でキッチンの床を這いまわっている氷の国の氷河を見おろし、同じ氷河として、あまりの情けなさに右手で顔を覆ってしまったのでした。 |
◆リリィちゃんについてはこちらをどうぞ |