それはともかく。
馬鹿でも、阿呆でも、氷の国の氷河が、彼なりに頑張っているのは事実です。

いくら哀れな男でも、それが努力せずにいじいじしているだけの男だったら、たれたれ氷河さんだって、当然無視を決め込んでいたことでしょう。
けれど、努力に努力を重ねて報われず、その上でいじいじしている男というのは――とにかく、ひたすら哀れなのです。
それ以外の単語が思いつかないほど、哀れだったのです。

たれたれ氷河さんは、精神衛生上、氷の国の氷河をこれ以上放っておけないというところまできていました。

あ、誤解してはいけませんよ。
たれたれ氷河さんが心配したのは、誰よりもまず、たれたれ瞬ちゃんでした。
あんまり氷の国の氷河が哀れだと、たれたれ瞬ちゃんが胸を痛めることになるに違いないと、たれたれ氷河さんは懸念していたのです。

「氷の国の氷河の馬鹿さ加減も問題だが(あ、言っちゃった;;)、それ以上に問題なのは、小人たちがあまりに幼すぎるということだ」

そこで、たれたれ氷河さんの提案です。
「しかし、俺が小人たちに大人のたしなみを教えてやったりしたら、氷の国の氷河はますます哀しい男になり果てるだろう。だから、ここはおまえの出番だ。先輩として、おまえが、あの小人たちに、大人のたしなみを教えてやるんだ」

「え? 先輩? 僕が?」

あんまりそういうことを言われたことがなかったので、たれたれ瞬ちゃんはちょっと嬉しくなってしまいました。

「わーい、僕、先輩なんだ♪ うん、任せておいて。僕が小人さんたちに、しっかり大人のたしなみを教えてあげるから!」

やる気満々で瞳を輝かせるたれたれ瞬ちゃんはとても可愛かったので、たれたれ氷河さんのやる気も再び盛り上がってきました。

それから、たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんがした素敵なことは、氷の国の氷河には絶対に秘密です。