ところで、そのたれたれ氷河さんですが。

実は、たれたれ氷河さんはとても緊張していました。


小人たちに混じって、たれたれ瞬ちゃんも貼っついているとなると、たれたれ氷河さんも(顔はともかく、別の部分は)そうそう冷静ではいられません。
しかも、ここでぴくり☆ とでも動いたら、氷の国の氷河が頭に血をのぼらせて居間に飛び込んでくるだろうことも、ドアの陰から見えている哀しい影のせいで、たれたれ氷河さんにはわかっていました。


指一本、髪の毛一本でも動かしてしまったら、氷の国の氷河が乱入してきます。
そうなれば、気持ちよさそうに眠っている小人たちを起こしてしまうに違いありません。

たれたれ氷河さんも、氷の国の氷河と全く同じことを考えて、この緊迫した場面を耐えていました。
岩のように動きませんでした。


傍から見ると、小人たちとたれたれ瞬ちゃんに貼りつかれた超幸せな男。
その光景は天国のお花畑のように、ほのぼのの極み。
けれど、たれたれ氷河さんの身体と精神は極限まで緊張し、周囲の空気はぴんと張りつめていました。
たれたれ氷河さんは、まさに、ナイフの上でバランスを保っているような状態だったのです。


このバランスはいつまで保たれるのでしょう。
否、いつ崩れてしまうのでしょうか !?