氷の国の氷河は、呆然としていました。

真の漢もクソも(失礼;;)あったものではありません。
氷の国の氷河には、これまでの血の滲むような徒労の数々を嘆くことさえ思いつきませんでした。

(こここここここここんなにも簡単に小人たちを合体させることができたなんてっ !! )
と混乱しつつ、氷の国の氷河の心臓は、目の前に座っている(『テーブルの上に整列している』ではないのです!)合体瞬を前にして、どきどきどきどきどきどきどきと早鐘を打ち始めていました。


そんな氷の国の氷河に、合体瞬が無邪気に尋ねてきます。
「氷河。たれたれ瞬ちゃんの言ってた“いいこと”ってなーに?」× 1

(あ…ああああああああ、瞬〜〜〜っっ !! )

「氷河、泡ふいてるみたいだけど、具合い悪いの? 大丈夫? ね、“いいこと”ってなーに?」× 1

(可愛いいいいいぃぃぃ〜っっっ !!!! )

「たれたれ瞬ちゃん、合体しておやつ食べたらいいことがあるって言ってたよ。ね、“いいこと”ってなーに?」× 1

(俺の瞬だ〜〜っっ !! 俺の瞬なんだ〜〜っっっ !!!! )

「氷河、たれたれ氷河さんとたれたれ瞬ちゃんのおみやげ見せて? “いいこと”って、それのことかな?」× 1
「は……はい〜vv(← 何も考えていない)」

長い間夢に見続けてきた合体瞬を目の前にして、氷の国の氷河がまともな思考回路を保っていられるはずがありません。
普段から故障気味の思考回路のあちこちを更にショートさせつつ、氷の国の氷河は、合体瞬に求められるまま、たれたれさん宅のお二人のおみやげを広げてみました。

が、ダンボの耳栓はともかく、氷の国の氷河も氷の国の合体瞬も、なぜそこにターゲットスコープと、16人分のおやつがあるのかがまるで理解できないのでした。


「氷河、これ、なぁに?」
ターゲットスコープを指差して尋ねてくる合体瞬に、氷の国の氷河は首をかしげることしかできません。
「む……?」
もちろん、それは、『照準を誤るな』という、たれたれ氷河さんの忠告でしたが、そんなことが氷の国の氷河に通じるはずもなかったのでした。

「おやつが16人分って、合体を解いて氷河と食べろってことかな?」

「そそそそそんなはずはないっっっ !!!! 」
合体瞬の言葉に大慌てに慌てて、氷の国の氷河は、それだけはきっぱりと男らしく否定しました。

合体瞬も、素直に頷きます。
「そうだよね、合体して食べたら“いいこと”があるって言ってたよね、たれたれ瞬ちゃん」
「そそそそそそそそのとーりだ!」


「うーん、わかんないね〜」
「(どーして瞬はこんなに可愛いのか)謎だ〜♪」

たれたれさん宅のお二人からのおみやげを前にして、氷の国の氷河と氷の国の合体瞬は、揃って首をかしげました。


いずれにしても、氷の国の氷河の思考回路はまともに働いていませんでした。
氷の国の氷河のあまり出来のよくないアタマは、合体瞬の出現で完全に狂ってしまっていたのです。