さて、ミスターまりっこショーの収録を終えて、超特急で氷の国に帰ってきた氷の国の小人たち。 そんな小人たちを出迎えたのは、小人たちがまりっこの許に飛んだ時と同じお城と同じ空気、そして、1個もケーキの置かれていない空っぽのテーブルでした。 「あれ〜? ケーキ、全然届いてないね」 「がっかり〜」 「さっき、テレビが終わったばっかりだから、ケーキが届くのは、早くても明日になるんじゃないかな」 「ペルセウス特急便なら、明日の朝、届くよね」 「ペルセウス特急便の配達のおにーさんって、いつも僕たちのこと、『可愛らしい坊やちゃんたち』って呼ぶよね」 「ちょっと荒っぽい感じがするけど、配達の度にクッキーやキャンディをくれるよね」 「ないすがい、だよね」」 「ああ〜、早くケーキが来ないかなぁ」 小人たちは、もちろん、自分たちの思い通りに事が進まなくても、がっかりしたりはしません。 幸せの時は必ず訪れるのですから、小人たちはいつも、わくわくしながら、その時を待つだけなのです。 「ちょっと待って。肝心な事を確かめてなかったけど、あの番組って生放送じゃなかったのかもしれないよ」 「あ、そっか。だったら、放送後にしかケーキは届かないよね」 「いつ放送するのか聞いてくればよかったね」 「は〜〜、待ち遠しいなぁ」 小人たちが人待ち顔ならぬケーキ待ち顔になった時、収録スタジオでの氷の国の氷河の言葉を思い出した4号が、罪のない笑顔で言いました。 「でも、テレビを見た人たちからのケーキが届く間に、氷河が10メートルのケーキを食べさせてくれるからガマンしようよ」 「あ、そうだった!」 「氷河〜! 10メートルのケーキはいつ食べられるの〜?」× 15 小人たちに尋ねられた氷の国の氷河は、内心ぎくぎくぎくっ★ です。 「そそそそそうだなあぁぁぁぁ…………頑張って働きます……」 小人たちに、期待に満ち満ちた眼差しを向けられて、 『あれは、気が大きくなっていたせいで口をついて出た大口だ』 なんて言える氷の国の氷河ではありません。 かくして、氷の国の氷河は、小人たちとの約束を守るため、以前某王室から依頼のあった100畳大・刺繍タペストリーの依頼を引き受ける決心をすることになってしまったのでした。 |