伝説の始まり




小人たちの心臓は、破裂しそうなくらいどきどきしていました。

そんな中、会場内に響くアナウンス。
『ただいまより、第○回コミックマーケット開催でーす』

ついに、小人たちの初めてのコミケが始まったのです!



アナウンスと共に、会場内にはお客様が雪崩れ込んできました。
それまでスペースサークル内にいた売り子さんたちの多くもまた、お買い物に飛び出しました。 なんだか周囲に殺気がみなぎっています。
自分たちのスペースの前の通路を疾風のように駆け抜けていくお姉さんたちの、殺気走った表情に、小人たちはびっくりしてしまいました。
みんな、まるで、コミケに命でも賭けているかのような形相なのです。

小人たちは、
『自分たちの作った本を誰かに見てもらえたら素敵だろうな〜』
という気持ちだけで、コミケに参加しました。
でも、もしかしたらコミケは、そんな安易な気持ちだけで参加してはいけないイベントなのかもしれません。
決死の覚悟で参加すべきものだったのかもしれません。

小人たちは、緊迫感にあふれた会場の雰囲気に圧倒されて、すっかり萎縮してしまっていました。


瞬ちゃんズの3人に、
「小人さんたち、そんなに恐がらなくても大丈夫だよ」
と励ましてもらえなかったら、あまりの恐ろしさに小人たちは泣き出してしまっていたかもしれません。

小人たちのお隣りが、瞬ちゃんズのスペースだったのは、まさに天の采配。
瞬ちゃんズに励まされて、小人たちは、その場から逃げ出したい気持ちをなんとか抑えることができたのでした。