みしぇ瞬ちゃんが、何故そんなお話を描いたのか、それはみしぇ瞬ちゃんしか知らないことです。 それとも、瞬ちゃんズの仲間であるたれたれ瞬ちゃんときゃわ瞬だけは、その理由を知っていたのでしょうか。 みしぇ瞬ちゃんが、この夏の最新刊に描いたお話のタイトルは『1週間』。 文字通り、みしぇ瞬ちゃんとみしぇ氷河さんの1週間の暮らしぶりを描いたものでした。 その内容が、実にとんでもなかったのです。 夏コミでその本が販売されるや否や、みしぇ氷河さんのところには毎日のように手紙やEメールが届くようになりました。 その内容は、概ね、 『みしぇ氷河さん、何かあったんですか?』 『質の良くない病気でも拾っちゃったんですか?』 『悪いものでも食べたんでしょーか?』 『みしぇ氷河さん、頑張ってください!』 といった、読者からの激励と心配のお便りでした。 それだけならまだしも、瞬ちゃんズの新刊を読んだ世界中の氷河さんたちから、 『みしぇ氷河、何かあったのなら相談にのるぞ』 『言いにくいことなら、無理に聞き出そうとは思わないが……』 『みしぇ瞬のためにも、早く病気を治すんだぞ』 『できないならできないで仕方がないが、みしぇ瞬が寂しがらないように、何か別のもので楽しませてやるとかした方がいい』 『ネットで調べたんだが、スウェーデンにいい病院があるようだ』 と、これまた続々と心配メールが送信されてきたのです。 もちろん、みしぇ氷河さんを心配しているのは、世界中の氷河さんたちばかりではありません。 瞬ちゃんたちは瞬ちゃんたちで、 『みしぇ氷河さん、大丈夫なのかなぁ』 『僕の氷河も心配してたよ。普通の氷河なら3日しないと狂うはずだ……って』 『みしぇ瞬ちゃん、辛いだろうね……』 『うん、あれは辛いよね……』 『みしぇ氷河さん、今までが立派だっただけに、辛さは倍増しかもしれない……』 『みしぇ瞬ちゃん、かわいそう……』 『うん、すごくかわいそう』 ――なーんて、井戸端心配会議。 そうです。 みしぇ瞬ちゃんの新作『1週間』で、みしぇ氷河さんは、ただの一度もみしぇ瞬ちゃんとえっちをしていなかったのです。 世界中の氷河さんと瞬ちゃんと、瞬ちゃんズのファンが、みしぇ氷河さんの身を心配するのも無理からぬことでした。 当のみしぇ氷河さんは、毎日のように届く手紙やメールを、最初のうちはせせら笑っていました。 「別に、氷河だからって、毎日するのが義務ってわけじゃないだろう。なんで、いちいち、そんなことで大騒ぎするんだ! 俺にだって、興が乗らない時はあるんだよ!」 ――なんて言いながら。 けれど、ある日、そんなふうに呑気に構えてもいられない事件が起きてしまったのです。 事件と言っても大したことではありません。 みしぇ氷河さんは、氷の国の氷河から、手紙を1通受け取ったのでした。 その手紙には、 『みしぇ氷河、君の辛さはよくわかる。しかし、この哀しみに耐え、互いに励まし合い、支え合って、共に哀しい人生を生きていこう』 という、心温まる文章が綴られていました。 が、他の氷河さんならともかく、氷の国の氷河からこんな手紙をもらってしまっては、みしぇ氷河さんのプライドはずたずたです。 みしぇ氷河さんは、氷の国の氷河からの手紙を読み終えるや否や、 「氷の国の氷河の仲間にされてたまるかーっっっ !!!! 」 と雄叫びをあげ、早速その夜から気合いを入れて頑張り始めたのだそうです。 ……みしぇ瞬ちゃんが、何故そんなお話を描いたのかは誰も知りません。 ただ、翌日、みしぇ瞬ちゃんが、たれたれ瞬ちゃんときゃわ瞬に、 『目的、無事達成』 という短いメールを送ったことは事実です。 瞬ちゃんズサークルの暴露本発行の狙いは、案外ここいらへんにあるのかもしれませんね。 |