ところで、世の中には、欲しくて欲しくてたまらなかったものを手にいれて、すっかり幸せになってしまった不幸な人間というものが存在します。
欲しいものを手に入れて、それ以上欲しいものがなくなってしまったような人ですね。

満ち足りて、幸せで、苦も悲もなくなってしまった人。

瞬の――それが、合体した瞬であれ、小人の瞬であれ――愛情を確信できてしまった後の氷の国の氷河がそうでした。


生きながらにしてエリシオンに住んでいるような氷の国の氷河。
彼が過ごす毎日は満ち足りていました。

彼の人生は愛に満たされていたのです。