「はい、おしまい。さあ、おまえたち、もう寝なさい。いい子は、『早寝早起き歯をみがく』だぞ」


氷の国の氷河のおねむのお話が終わると、小人たちは、おねむするどころか、氷河のベッドの上で大騒ぎを始めました。

「ねえねえ、笑壷にハマった小人さんたちは、それからどーなったのー?」
「小人さんたち、今も悲しんでたら、いやだよねー」
「ニコルさんは、瞬ちゃんと仲良くなるのー?」
「でも、この瞬ちゃんにも、氷河がいるんでしょー?」


わいわい騒ぎ始めた小人たちをひとりひとり寝かしつけるために、氷の国の氷河は今夜もてんてこまいです。

「ああ、そうだな。きっと、小人たちは氷の国に帰って、いい子でおねむしてるだろうな。おまえたちも、寝る前に『ギガントマキア』なんて怖いおばけの出てくる本を読むのは、もうやめるんだぞ。また眠れなくなるに決まってるんだから」

そうなのです。
小人たちは、おねむの前に、こわーい神様のおばけが出てくるお話を読んで眠れなくなって、氷の国の氷河に楽しいお話をせがんだのでした。
おかげで、氷の国の氷河は、『ギガントマキア』をほのぼの童話にするために一苦労です。

「はーい、もう怖い本は読みませーん!」× 15

良い子のお返事をして、小人たちは、氷河のベッドの枕元にから〜っと並んで、おねむ態勢になりました。


今夜、小人たちは、きっと、楽しそうに笑っているナンパなニコルさんと瞬ちゃんの夢を見て、とても幸せな気持ちになることでしょう。

そして、小人たちの寝顔が安らかで幸せなら、氷の国の氷河も幸せです。



誰かの笑顔で幸せになれる人が、世界でいちばん幸せな人。


さあ、このお話でいちばん幸せだったのは、いったい誰なんでしょうね?





おしまい







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