「買い手さんがつくといいねー」
「どうかしら。どきどきするね」
「氷河が一生懸命写真撮ってくれたんだもの、きっと、みんな欲しがってくれるよ」
「そうだよね、インターネットに繋げるために、氷河ったら、機械音痴なのに、(9号の指示に従って)ひーこら言って頑張ってくれたもん、きっと大丈夫だよ! ねっ、9号!」

「も……もちろんさ! なんたって、『目指せ、売り上げ1億円!』だもん!」
「うんうん、目指せ、売り上げいちおくえーん !! 」× 14


9号は、なにしろ景気のいい話が好きでしたから、仲間たちにはそう言いましたけれど、実は、内心どきどきでした。
冷静になって考えてみれば、ピアノの鍵盤なんて、何の役に立つものでもありませんから、張り切って出品しても、買い手さんがひとりもつかないことだってありえるのです。

せめて、鍵盤に付加価値をつけるために使ったサインペン代くらいは売れるといいな〜 と、9号は思っていました。


小人たちの就寝時刻は、特別のご用事がない限り、8時ということになっています。
オーシクョンへの出品を終えた小人たちは、どきどきとわくわくを胸に、その夜も8時にお布団の中に潜り込みました。


仁義無用・弱肉強食・当意即妙がものを言うやふぅオークション。
小人たちが眠りに就いた頃から、やふぅオークションでは巨大な嵐が吹き荒れ始めていたのです……。