『氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記』が発売になって間もなく、『氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記』解説の原稿料である氷の国の氷河の刺繍入りカーテンが、たれたれ瞬ちゃんの許に送られてきました。


「今日、氷の国から、リビング用のカーテンが届いたの」
「ふむ、相変わらず、見事なもんだな。氷の国の氷河の刺繍の才能にだけは、誰も敵わない」
「うん。この小人さんたち、ほんとに可愛くて、まるで生きてるみたいだよね。とても、刺繍だなんて思えないよ」

たれたれ瞬ちゃんは、相変わらず人間業とは思えない出来のカーテンに、とてもとても満足していました。

「氷の国の氷河の愛がこもっているからだろう」
「うん。きっとそうだね。氷の国の氷河さんは、やっぱり、手記なんかより、刺繍の方が雄弁だね」
「しかし、本当に見事な出来だ。きっと、これをやふぅのオークションに出したら、とんでもない高値がつくぞ」
「やだ、氷河。そんなこと、冗談でも言わないで。氷の国の氷河さんの愛をお金に変えられるわけがないじゃない」
「そうだな」

「そうだよ、愛はお金じゃ買えないの」
「ああ、その通りだ」

たれたれ氷河さんはそう言って、たれたれ瞬ちゃんの肩をそっと抱き寄せました。

そうして、たれたれ瞬ちゃんとたれたれ氷河さんは、すさまじいまでの愛がこもった氷の国の氷河の刺繍をいつまでもいつまでも見詰め続けていたのです。