ピンク : 氷の国の小人たち 1〜8号・10〜15号ちゃん
オレンジ色 : 9号ちゃん
: 氷の国の氷河
: プルーストさん 心の声



Q7 実生活で、一番お気に入りの女性は?



「氷の国に女のひとはいないよぉ……。どうしよう?」
「実生活でお気に入りってことだから、日頃お世話になっている女のひとをあげればいいんだよ」

「あ、それならいるよね。サンクチュアリ保険のおねえさんとか」
「僕たちは、みこみのないおきゃくなのに、キャンディやチョコレートをくれるいいおねえさんだよね」
「でも会社の方針で勤務中は仮面を付けてないといけないからたいへんだよね」
「あの会社は実力第一主義、オンナの武器は使いませんていう、質実剛健な企業だからね。信じられるのは己の力のみ……ってとこなのかな」

「かっこいー!」
「僕たちも、そんなかっこいーおねえさんを応援してあげたいね」
「一番いいのは保険に入ることなんだけど……」
「僕たちは『告知書』でひっかかるから無理なんだよね」
「15人で1人、1人で15人ですっていうのが通じないんだから仕方ないよね」
「ねぇ、氷河なら入れるんじゃないの?」
「保険料が高いから、9号が契約を断ってるんだよね」
「実は契約してもいいかなって思ってるんだ。この前持ってきてもらったプランが、けっこう良かったんだ」

「へ〜。どれどれ?」
「えーと……基本契約・死亡後遺障害時いちおくえん」
「すごい! そんなにもらえるの?」
「これは、氷河が死なないともらえないんだよ」
「ええっ。じゃあそんなお金もらえなくてもいいよ」
「保険なんていらないよー」

「なにも氷河が死んだ時だけにお金がもらえるわけじゃないんだ。ケガや病気になった時にももらえるんだよ。そういうもしもの時の保険なんだから」
「保険はお守りだよっておねえさんも言ってたね」
「お守りはある方がいいよね」
「うん、それにケガや病気くらいで死ぬような氷河の生命力じゃないもん」
「氷河、しょっちゅう死にかけてるけど死なないもんねー」
「もし氷河が病気になったら一生懸命看病するんだ♪ そしたら今よりもっともっと愛が深まって、プラス保険金までもらえて言うことないよね」
「じゃあ、氷河を保険に入れることに決定」
「けってーい!!」× 15

「そうそう。保険に入ると、色々プレゼントがもらえるんだよ。楽しみだなぁ」


(なんとっ!? 9号ちゃん、もしかせんでもそれが目当てでっか〜?)


「俺が日頃お世話になってる女性というと、キョウコさんかな」

「氷河っ!!!」× 15
「はっはいっ……?」
「キョウコさんって誰?」
「そんな人僕知らないよ〜」
「いつの間にそんなヒミツを持ってたの〜!?」
「うわわ〜ん、知らない間に大きくて深い川が僕たちの間に流れていたんだぁ〜」

「お……おい、落ち着くんだ、おまえたち」
「落ち着いてるよっ!! さぁ、氷河っ! キョウコさんのことを白状してっ!」

「キョウコさんは今している通信教育の添削をしてくれる先生なんだ。出来の悪い俺にも愛想を尽かさずに、解答用紙にびっちりと赤ペンでメッセージをくれる、とっても 親切でいい先生なんだ」     
↑ 勿論メッセージなどではなく、アドバイスと注意書きでまっかっかなのである。

「ひ……氷河〜。ごめんね疑ったりして!」
「いいんだ……。わかってくれたなら」
「氷河〜!! 大好き! だから保険に入ってね」
「ああ……。わかった、かわいいおまえたちの望むことなら、何でもしてやるよ」
「あ〜ん、氷河〜!」


なしくずしに生命保険加入が決まった氷の国の氷河(保険料自分払い)。
これで小人さんたちの生活は補償された、例えサクラが散ろうとも後顧の憂いはない。
さぁ、当たって砕けろ、氷の国の氷河!