ピンク : 氷の国の小人たち 1〜8号・10〜15号ちゃん
オレンジ色 : 9号ちゃん
: 氷の国の氷河
: プルーストさん 心の声



Q33 どのように死にたいですか?



「やっぱり、おいしいお菓子を限界まで食べて」
「氷河が作ってくれたお気に入りのお洋服着て」
「できれば綺麗なお花畑の中がいいな」
「それで氷河に手を繋いでもらっていたいな」
「氷河が側にいてくれれば怖くないと思うんだ」
「そうだね」

「僕たちと氷河の周りには、きれいなお花がたくさんあって」
「他には誰もいなくて静かで」
「お天気は暑からず寒からずの澄みわたった青空の下で」
「ああ〜いい人生だった、もう思い残すことは何もありません、それもこれもみんな氷河がいてくれたおかげですって、最後に氷河にお礼の言葉を言うの」

「お……お前たち……(じ〜〜ん)」

「氷河がノーベルンルン賞を取ってくれたおかげで、僕たちは幸せな半生を送るんだよね」

(うっ……)

「うん。ノーベルンルン賞が縁で懇意になったスウェーデンデン国と通商条約を結んで、氷の国が商売繁盛して」
「ノーベルンルン賞が縁で懇意になったスウェーデンデン国王様の縁で社交界デビューして、華やかな世界を知って」
「夢のような舞踏会で、ダンスやピアノ演叩を披露して」
「豪華な晩餐会で、すごいごちそうに舌鼓を打って」
「地位も名誉も名声も全て手に入れて、本当に充実した人生だったなぁ……って思いながら永遠の眠りにつくの」

「それもこれも氷河がノーベルンルン賞をとってくれたおかげだよね」
「うん。氷河のくれた幸せのおかげだよ」

「……お、お前たち……まだノーベルンルン賞をとってもいないのに、ちょっと気が早くはないか?」

「えー、でも氷河のノーベルンルン賞受賞は、僕たちの人生計画にがっちり組み込まれてるんだからー」
「そうそう。ちゃんと実行してくれないと、この世に未練が残って、僕たち、ちゃんと成仏できないよ」
「死んだあと、夜な夜な氷河の枕元に立ちにいくよ? それでもいいの?」

「う……」

「まず、氷河のおなかの上で、呪いのダンスをして金縛りにあわせてやる〜(ひゅ〜)」
「ひょうがぁ〜、どうしてノーベルンルンとってくれなかったのぉ〜(どろどろ〜)」
「次は、冷や冷やコンニャク攻撃でひや〜っとさせてやる〜(どろどろろ〜)」
「ひょうがぁ〜、僕たちにメダルを見せて〜(どろどろどろろ〜)」
「おいてけ〜、金のメダル〜(どろろろろん〜)」
「ノーベルンルン賞償金を元にして増やした株券の束おいてけ〜(どろどろどろどろ〜)」

「ひ〜〜……! だだだがしかし、俺はお前たちのいない人生なんて1秒も生きていられないから、一瞬の差でもお前たちより早く死にたいんだが……」

「ひ……氷河っ」
「うわーん、氷河がいなくなったら生きていられないのは僕たちだっていっしょだよー」
「あーん、僕たちより先に死にたいなんてそんな悲しいこと言わないでよー」
「あぁーん、氷河が死ぬのを見るのはいやだよー」
「俺だって……俺だって、お前たちが死ぬのは見たくないんだー」
「えぐえぐ……じゃあ、みんな一緒にあの世に行くことにしようよ」
「うん……。ぐすぐす……氷河の枕元に立てないのは残念だけど」
「天国への階段を登る間の時間があるからいいよね」

「くすん……でも、僕たちはきっと天国にいけると思うけど、氷河も絶対天国にいけるのかな……?」


「…………………………………………………………」× 15


「ななななんでそこで沈黙するんだ、お前たちー!? な…なんとか言ってくれぇー! 俺は天国にいけないのかー!?」


(ううう〜ん……。氷の国の氷河はんは、ことごとく運に見放されてるからなぁ……。ひょっとして、神さんが間違うて、うっかり地獄に落としてしまうくらいの目には合いそうやなー……)


人生の一歩先は闇。
BGMは「天国と地獄」 BY オッフェンバックで、第33問目をお送りいたしました。