さて。 12号と氷の国の氷河のやりとりを見ていて、他の14人はすっかりおかんむりです。 どう考えても、これは贔屓です。 お洋服の数も、おやつの量も、いつも一緒で何でも同じだった仲間の中の一人が、小人たちの愛する氷の国の氷河に贔屓されているのです。 12号を除いた14人の小人たちは、突然、氷の国の氷河の身体を伝って、テーブルの下にするするすると降り始めました。 「ん? どうしたんだ、おまえたち。おやつの準備ができてるぞ」 「―――」× 14 小人たちは、氷の国の氷河に尋ねられても、お返事をしませんでした。 おやつが何だというのでしょう。 氷河が――小人たちの愛する氷の国の氷河が、仲間の一人を贔屓しているのです。 小人たちにとって、それは、おやつなんかよりずっとずっと深刻な問題だったのです。 小人たちは隊列を組むと、無言でお部屋を出ていきました。 12号を肩に乗せて追いかけてきた氷の国の氷河には目もくれず、小人たちは氷瞬城のお庭にあるお洗濯場に逆戻り。 そして、お洗濯場に着くなり、14人は着ていたお洋服をぱぱぱぱぱっ☆ と脱いで、素っ裸になると、じゃぶじゃぶお洗濯を始めてしまったのです。 お洗濯が済むと、小人たちは二人一組になってお洋服をきゅっと絞り、洗濯紐に通しました。 もちろん、素っ裸で。 お洗濯したお洋服がひらひら風を受けてなびくのを見て、小人たちはとても満足そうに頷きました。 当然、素っ裸で。 そうして。 小人たちは一斉に氷の国の氷河の足許に駆けてくると、大きな声で言ったのです。 「氷河ー! 僕たちもお着替えがなくなっちゃったー !! 」 氷の国の氷河は目がテンです。 けれど、氷の国の氷河には、もちろん、小人たちを叱ることはできませんでした。 まあ、そんなわけで。 氷の国の小人たちのお洋服はどんどんどんどん増えていくのです。 |