「あーん、あーん、あーん !! 」× 15

氷の国の氷河の背中から更に床に滑り落ちた小人たちは、氷の国の氷河の周りで大泣きです。

小人たちが泣いてるのは、落下の際の打ち身が痛いからでもありましたが、それよりも何よりも――もし、この氷河地獄救出作戦がうまくいかなかったら、氷の国の氷河が永遠に地獄で苦しみ続け、自分たちと氷の国の氷河が離れて暮らさなければならなくなるかもしれない――という怖れのためでした。


「ど……どうしたんだ、おまえたち…… !? 」

大検とノーベルンルン賞挑戦、年末年始の準備とクリスマスの準備で疲労困憊し、それまで立ちあがることもできずにいた氷の国の氷河は、小人たちの阿鼻叫喚を耳にして、むくりとその場に起き上がりました。

身を切るように切ない小人たちの大きな泣き声を聞かされて、氷の国の氷河は、のんきに死んでなんかいられなかったのです。

「おまえたち、どうしたんだ」
「氷河―っっ !! 」
氷の国の氷河に尋ねられた小人たちはそれぞれ、あんあん泣きながら、上体を起こした氷の国の氷河にしがみついていきました。

「ひっくひっく……。僕たち、氷河を地獄から引き上げる練習してたの」
「でも、どーしても、上手にできないの……」
「僕たち、恐くても頑張ったのに」
「どうして、うまくできないの」
「僕たち、ダンスやお歌やお絵描きやピアノなんて、うまくできなくてもいいよ! 氷河を地獄から助け出せるのなら……! それなのに……!」
「どーしてもどーしても、上手にできないの!」
「あーん、あーん、あーん !! 僕たち、氷河と離れたくないよぉーっっ !! 」

頑張っても頑張っても、その努力が実らないということは、なんて辛いことでしょう。
小人たちの涙は止まりませんでした。

「僕たち、いつまでもいつまでも、どんな時にだって、どんなとこでだって、氷河と一緒にいたいのにー!」

「僕たちの氷河を地獄に落とす神様なんか大っ嫌いーっっ!」
「氷河、僕たちを置いて、地獄になんか行っちゃわないでーっ!」
「そんなことになったら、僕たち……僕たち……」

「あーん、あーん、あーん !! 」× 15


いつもは、誰よりも、どんな困難の前ででも前向きな小人たち。
15人一緒なら、どんなことでもできると思っていただけに、どれだけ頑張っても努力が報われない小人たちの嘆きは、それはそれは大きかったのです。