「1号ちゃんが イモ掘って 2号ちゃんが 煮てたべて 3号ちゃんが 酒のんで 4号ちゃんが 酔っぱろて 5号ちゃんが ゴボー切って 6号ちゃんが ろくでなし 7号ちゃんが しばられて 8号ちゃんが 腹切って 9号ちゃんが 灸据えて 10号ちゃんが 重箱かついで 11号ちゃんが 11箱かついで 12号ちゃんが 12箱かついで 13号ちゃんが 13箱かついで 14号ちゃんが 14箱かついで 15号ちゃんが 15箱かついで エッサッサーのほーやれほ〜っっっ! おまえたち〜っっ、俺を置いてどこに行ってしまったんだ〜っっ !! 」 翌日、ひとりぽっちの夜を過ごした銭形氷河の混乱は、ますますひどくなっていました。 涙で顔をべちょべちょにしているオトコに背中を流してもらっているお客さんたちは、とっても困惑顔で迷惑顔。 それを見ていた湯屋のご主人は、銭形氷河に 「おいおい、にーちゃん、笑顔で仕事してくれなきゃ困るじゃねーか! ああ、もう、ここはいいから、納屋に置いてある壺を運び出してくれ。巣風運屋さんから預かっていた砂糖壺だ。長崎の出島から南蛮経由でよおろっぱとかいうところに持っていくらしい。日本の壺が気に入った南蛮人さんがいるらしくてねぇ。あんな壺のどこがいいんだか、俺にゃあさっぱりわからんが」 「つつつつ壺つぼどつぼ。 1号ちゃんが 壺割って 2号ちゃんが ニナリッチ 3号ちゃんが 砂糖舐めて 4号ちゃんが よろめいて 5号ちゃんが――」 「ああ、そんな歌どーでもいいから、早く運んでくれってば」 「あうあうあうあうあ〜っっ !!!! 」 パニック状態のまま、銭形氷河は、それでも、湯屋のご主人に言われた通り、納屋から砂糖壺を持ってきて、店の前に来ていた荷車に載せました。 この荷車の荷は、日の出桟橋から長崎に向かう船に積み込まれ、壺好きな南蛮人と共に、よおろっぱに向かうことになっていたのです。 「1号 いつでも力持ち、 2号 日本を後にして、 花のお江戸で行方不明〜 !! 」 銭形氷河のパニックは続いていますが、小人たちは、がらがら気持ちよく揺れる甘い砂糖壺の中で、幸せいっぱい夢の中。 「ふにゃあ〜。もう食べれないよぉ〜、ぐーぐー」 「こんなに素敵な甘い世界、離れられない〜、すーすー」 「幸せ幸せ、ぐーすかぴー」 果たして、甘い世界の小人たちは、このまま銭形氷河から遠く離れ、未知の世界よおろっぱに運ばれていってしまうのでしょうか。 花のお江戸の小人たちと銭形氷河の愛の行方は !? そして、銭形氷河は湯屋のバイトをクビにならずに済むのでしょうか !? 銭形氷河の! 明日はどっちだ !? |