今、瞬の側にいるのは俺だ。 今では、一輝より俺の方が瞬をよく知っている。 一輝の知らない瞬を、俺は知っている。 激しい嵐を耐えるように俺の愛撫に翻弄され、切なく喘ぎ、しなる肢体。 貫かれる瞬間の小さな悲鳴。 一つになったが最後、いつまでも離さないと言うかのように俺に絡みついてくる、瞬の腕と指と熱と血と肉と声。 一輝には知り得ない瞬を独り占めしていながら、それでも、瞬の心の全てを自分のものにできていないという欠如感。 完全に満たされていないと思うほどに、瞬を求める気持ちは強く激しくなっていく。 欠如感というより、それはむしろ飢餓感に似てきていた。 |