兄上からのお返事に狂喜して、アルベリーコにキスの雨を降らせました。
兄上の安全のためとあらば、無理に居場所を聞こうとはいたしません。

僕がどこにいるのかをお尋ねにならないのですね。
それとも既にご存じなのでしょうか。

多分、ご存じなのでしょう。
そうです。
僕は今、兄上があれほど憎んでいらしたエステ家に囚われています。

エステ家の三男フォルトナートの屋敷に一室をあてがわれ、そこにいます。
兄上をヴェローナの領主の座から追い払い、パドヴァの町とフェラーラの町を奪い取ったアッツォの息子の許に。
兄上は、囚われているという表現は、欺瞞だとおっしゃるかもしれません。
僕の今の境遇を風の噂にでもお聞き及びなら。

フォルトナートは僕を……どう言えばいいのでしょう。
適切な言葉が思い浮かびません。

――彼は、僕を美しいと言いました。

そんな辱めを受けるくらいなら、なぜ命を絶たないのかとおっしゃいますか。
兄上がそうしろとおっしゃるのでしたら、僕はそうします。
いえ、おっしゃってください。

僕は、フォルトナートが恐いのです。


1262.7.7   アンジェロ






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