前非を悔いて僧籍に入るとおっしゃるのですか。 それで、兄上のお心が安らげるのでしたら、僕は何も申しません。 むしろ、嬉しく思います。 けれど……。 兄上、今のご様子をお知らせください。 本当のことが知りたいのです。 僕は、無論、今の兄上のお心を嬉しく思っています。 けれど、今の兄上は、僕の知っている兄上とはあまりに違いすぎる。 あの――お辛いことを思い出させてしまって、申し訳ありません――パデュアの反乱鎮圧の際、兄上は、敵と見れば手当たり次第に殺戮し、聖職者さえも処刑しました。パドヴァやフェラーラの征服の際にも、兄上は数千人の市民を血祭りにあげました。宮廷内で兄上の暗殺計画が発覚した時には、首謀者とその一族郎党を女子供に至るまで、生きたまま皮を剥ぎ、首を刎ねておしまいになりました。 あの兄上が、こんなにも変わってしまうほどの、何があったというのでしょう。 フォルトナートはきっと兄上を助けてくれます。 昨日までの仇敵を信じることは難しいことかもしれませんが、フォルトナートはきっと……きっと、僕の願いを聞き入れてくれます。 信じてください。 1262.8.22 あなたの弟 アンジェロ
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