「カミュ先生はきっともてないから、瞬ちゃんに愛されている氷河をやっかんで、氷河の恋路を邪魔しているのよ! なんて卑劣な男なのかしら!」

その日、瞬ちゃんはロシアのお友達の家に行って、泣きながら、事の次第をマーマに報告しました。

「瞬ちゃん、そんなに泣かないで。大丈夫よ、マーマが話をつけてきてあげるわ!」

怒りに燃えたマーマは、今すぐにでもちゅうりっぷ小学校に乗り込んでいきそうな勢いです。

けれど。
そんなマーマを押しとどめたのは、ロシアのお友達当人でした。

「いや、これは男と男の勝負だ。マーマは手出し無用!」

(うっ、すごい気迫だわ! とても、私には手出しできない…!)
マーマとしたことが、ロシアのお友達の気迫に押され、思わず、2、3歩後ずさり。



恋は、障害があればあるほど、激しく燃えあがるものなのでしょうか。
人は、苦難に出会えば出会うほど、強くなっていくものなのでしょうか。

しくしく泣いている瞬ちゃんを慰めながら、お家までエスコートしていく一人息子の後ろ姿に、マーマもまた、感動の涙に泣き濡れたのです。


恋を知って強くたくましくなっていく我が子に感激したマーマが作ったその日の晩ご飯は、ロシアのお友達の大好物のくまさんハンバーグと、精がつくレバニラ炒め。

ロシアのお友達は、明日からの戦いと、いつかくる瞬ちゃんとの愛の夜に備えて、腕立て伏せを100回してから眠りにつきました。


恋に生きるロシアのお友達に、明日はどんな戦いが待っているのでしょうか。

それは明日がこないとわからないことなのです。






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