ロシアのお友達と瞬ちゃんの愛の行方を決める選挙は、そんなふうにして決着を見ました。


この結末に気が抜けてしまったカミュ先生は、横取りしたミルメークをマーマに返してくれました。
『ロシアのお友達と瞬ちゃんの愛の勝利を祝うパーティ』は、急遽、『ロシアのお友達と瞬ちゃんの愛の壮行会』に早変わり。
PTA婦人会の用意したケーキやハンバーグやカレーライスやスパゲティやおすしやタコさんウインナやジュースや豆乳デザートは、そういうわけで、無駄にならずに済んだのでした。



愛の壮行会も終わり、瞬ちゃんのほっぺにちゅうをして、お家に帰ったロシアのお友達は早速書き取りのお勉強です。

「氷河、書き取りのお勉強は進んでる?」
ロシアのお友達にお夜食を持っていったマーマは、ロシアのお友達の書き取りノートを覗き込みました。

そこに書かれていたのは、
『永河、永河、永河、永河、永河、永河、永河、永河、永河、永河、永河、永河、永河……』

「まあ、ちゃんと書けるようになったじゃないの! この分なら、来週にだって、氷河は2年生にあがれるわ! この調子で頑張るのよ!」
マーマに褒められて、ロシアのお友達はこっくりと頷きました。

『氷河』と『永河』。
流暢に日本語を操るマーマも、実は、漢字の書き取りは大の苦手だったのです。


全ての元凶は、やはり、やはり、やーっぱり、マーマだったのでした。






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