校庭では、遠足に出発しようとしていた先生や生徒たちが大騒ぎです。

「瞬―っ! 出てきなさいー! 氷河くんも一緒に『小人さんの森彫刻高原』に連れてってあげるからー!」
というアルビオレ先生の声が聞こえましたが、

「馬鹿者! どーして、君はいつもそう甘いんだ! 氷河っ、出てこいっ! 貴様は白クマ動物園に行くんだっっ!!」
というカミュ先生の声が、それを打ち消してしまいます。


2人は、ロッカーの陰で、ひたすらひしっ☆ と抱き合っていました。

「瞬、小人さんの森彫刻高原に行きたいのなら……」
「氷河と一緒じゃなきゃ嫌だっ!」
「瞬……」

瞬ちゃんが、どんなに『小人さんの森彫刻高原』での小人さんスタンプラリーを楽しみにしていたかを、ロシアのお友達はよく知っていました。
それなのに、瞬ちゃんは、『小人さんの森彫刻高原』に行くことより、自分と一緒にいることの方を選んでくれたのです。

ロシアのお友達は、瞬ちゃんの心が嬉しくて、泣いてしまいそうになりました。
なぜカミュ先生が自分たちを引き裂こうとするのか、ロシアのお友達にはどうしてもどうしてもわかりませんでした。






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