『小人さんの森彫刻高原』の中には、休憩・コミュニケーション施設として、小人さんたちが住んでいるという伝説の氷の国が再現されていている場所がありました。
氷の国のお城の周りに、小さな森や丘や小川があって、まるで童話の世界のように夢のある空間になっているのです。

そして、ここは小人さんの彫刻発見ポイントとしても重要な地点でした。
ここだけで、最低5つの彫刻があるというのは有名な話です。


「お城だ!」

ロシアのお友達と瞬ちゃんは、ちょうどその『氷の国ゾーン』に入ってきていました。

「あそこに彫刻があるかもしれないね」
「うん」

2人はまず、お城の中庭に入っていきました。
ここは、小人さんのお洗濯物が干されているオブジェや、小人さんサイズのブランコなんかが設置されています。
もちろん、ちゃんと普通の人間の子供サイズのブランコもあって、『小人さんの森彫刻高原』にやってきた子供たちが遊べるようになっていました。

「あっ、ブランコだ! わ〜い♪」

大抵の子供はブランコが好きです。
瞬ちゃんも、もちろん大好き。
すぐさまブランコに駆け寄って、勢いよく漕ぎ始めました。

「氷河も一緒に乗ろうよ!」
「うん」

瞬ちゃんに誘われて断る氷河は、氷河の風上にも置けません。
ロシアのお友達も氷河のたしなみを全うする為、瞬ちゃんの許に走り寄りました。

走り寄ったのはいいのですが。
瞬ちゃんに誘われて浮かれすぎていたのが命取り、ロシアのお友達は迂闊にも、ブランコに乗った瞬ちゃんの真正面に立ってしまったのです。

「わ〜〜っ !! 危ない、よけてっ!」
と、瞬ちゃんは大声で叫びましたが、時すでに遅し。

瞬ちゃんの乗ったブランコの直撃を受けたロシアのお友達は、聖闘士の技をまともに食らった雑兵よろしく、軽〜く3メートルは吹っ飛んで、どしゃあぁっ★ と、自分の顔で地面を掘ることになってしまったのです。
そして、ロシアのお友達はぴくりともしなくなりました。


「…………氷河? 生きてるよね……?」

恐る恐る駆け寄った瞬ちゃんの声にかろうじて反応したロシアのお友達は、震える指で、とある地点を指差しました。
「なぁに……? あっ!」

ロシアのお友達が指差したその先には、お洗濯物のオブジェのぱんつの間から顔を覗かせている、可愛い小人さんの彫刻がありました。
普通に立っていると、干されているぱんつやお洋服の死角になって見えない場所だったのですが、顔掘りで地面が削れた分視線が低くなっていたロシアのお友達には、その彫刻を容易に見つけることができたのです。


ロシアのお友達の捨て身の作戦(?)のおかげで、2つ目の彫刻もゲット!

満身創痍のロシアのお友達は、瞬ちゃんの膝枕でしばし至福の時間を過ごしたのでした。






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