僕は探した。
争いのない国を、何年も。

闘いは、僕の故郷の星だけのものではなかった。

どこに行っても、闘いばかり。
どの星に住む人々も、生きるための闘いを続けていた。



探しあぐねて、疲れ果てた頃、僕は見つけた。
銀の星の河を上へ上へと遡った先、故郷の星から遠く離れた空間にぽつりと浮かぶ、争いのない、ただ一つの星。


そこは、花しか生きていない星だった。
僕は花だらけの星に降り立って、その星を僕の終の住処と決めた。


花はものを言わない。

その星の花たちは、生きるために陽の光を得ようとして背伸びをすることすらしない花だった。

ただ生きて、
何事も為さず、
ただ死ぬ。

僕がこの星に来なければ、
その美しさを誰に誇ることもなく、ただ生を終えていたに違いない無垢な花たち。


この花のように生きて、この花のように死ぬ。

僕の望んでいた生と死が、花の星にはあった。





……氷河は知っていたのだろうか。
僕が故郷の星を後にした、本当の訳。






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