うっとりと恍惚の表情を浮かべ始めた瞬を映す氷河の視界の片隅を、床に打ち捨てられたパジャマが掠める。
そのパジャマのクマの呑気な顔に吹き出しそうになった氷河は、しかし、ふと思い直して、微苦笑するにとどめたのである。
それは、我が身を我儘で守ろうとした瞬が、必死の思いでまとっていた、切ない鎧だったのだから。
Fin.
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