『思い立ったが吉日』と俗に言う。

その日から、氷河は、極めて精力的にラッキョ・コンサルティング社をグラード財団内に移管する作業に没頭し始めた。 
権利と義務の譲渡、社員の処遇についての措置、税金対策等、一度企業人となった氷河と瞬が一介の高校生になるためには、数々の雑務が発生する。

その一方で、氷河は、社からあがった多額の利益をグラード学園に寄付し、光星寮内に二人部屋を用意させた。


全寮制の学校で、瞬と楽しい寮生活を過ごす――。
その目的の障害になるものを排斥するために、彼はいかなる努力も惜しまなかった。
その目的を1秒でも早く達成するために、各種法律・条令を調べ尽くし、各方面に金を掴ませ、抜け道を探し出す。


氷河の頭の中には、いつも何かしら明確な人生の目的があり、彼はその目的のために、持てる力の全てを駆使して、ひたすら邁進するのである。





――瞬と歩む人生そのものが、彼の学校だった。






Fin.







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