「帰ろう。風邪をひく」
「うん」

氷河の言葉に、僕は小さく頷いた。

僕の濡れた肩に手を置こうとした氷河が、でも、そうしないで、そのまま、僕の先に立って歩き出す。
僕は、氷河の後について、僕たちの家に続く道を歩き始めた。


少し陽射しが出てきて、雨は、輝くような細い銀色に変わりかけている。


氷河の背中を見詰めながら、僕は、
「氷河はもしかして、僕を好きなの?」
と尋ねるきっかけを探していた。





Fin.







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