シュンの真実の夢は叶いました。

ヒョウガは、彼の家畜の肉を食べ終えたシュンを、彼の家から追い出したりはしなかったのです。
その日から、ヒョウガとシュンは、森の外れの小さな家で、寄り添うようにして暮らし始めました。
ヒョウガとシュンは、生きるために同じものの命を奪い、共にその命をいたみ、同じ時間だけ生き永らえました。


二人は、今は、他の生き物の命を奪わなくても生きていける国に住んでいます。
そこは、自分の命がどんなふうにできているのかを真摯に考え、その命を精一杯生き抜いた者だけが至ることのできる国。
心だけで生きていける国なのです。


今は昔。
遠い北の国の白い森で、本当にあったお話ですよ。






Fin.






【back】