the reason to work

〜 みずきさんに捧ぐ 〜







その会社の母体はカナダにあり、1世紀以上続いた由緒ある企業ということだった。
本国に、四国に匹敵する面積の土地を有し、家具・貴金属・食品と多岐に渡る商品を取り扱っている。

その日本法人が、10数年間借り続けていたオフィスを引き払い、新たに、昨年完成したばかりのインテリジェントビルの41階から50階までを借り切ったのは、数ヶ月前に就任した新社長が、日本での大々的企業展開を決定したため。
従来の経営方針を一新しようとする新社長の決意の現われと見られていた。

それまでにもカナダからの製品を日本国内で販売するための販路の開拓には努めていたのだが、業績が伸びるでもなく落ち込むでもない提携日本企業の販売戦略に業を煮やした新社長は、意欲と発展性のない企業との関係を絶つことを決め、新たな提携先を求めて模索を始めた。


そういう経緯で、優良にして有望な商品を数多く扱っている当該企業の提携先として、国内の総合商社7、8社が名乗りをあげ、その企画室もしくは企画を請け負った企画会社が、販促プランの内容を競うことになったのである。






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