そして、氷河と僕は、その屋敷を出た。 もう二度とここには戻ってこないつもりで。 家を出て、門をくぐり抜ける前に、迷いながら半年を暮らした家を振り返った。 明るい陽光の下で見ると、血塗られた家は、何ということのない、ただの小綺麗な日本家屋でしかなかった。 あんなに不吉にざわめいていた竹林も、庭に雅趣を添えるための10本に満たないささやかな林に過ぎなかった。 僕たちは僕たちの世界に戻る。 僕たちの心の奥にある、悲しくて寂しい狂気は二度と呼び起こしたくない。 僕たちは、お互いだけでなく、世界を愛せるようになるんだ。 終
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