reason to do fight

〜 ポッポさんに捧ぐ 〜







『私は退屈するのが恐いのです』
と言ったのは、18世紀フランス革命下、断頭台の露と消えたフランス王妃マリー・アントワネット。
本は生涯に数冊の小説しか読まず、やおい妄想をするという高雅な趣味も持たなかった彼女は、その退屈を紛らせるために、おしゃれ、ダンス、賭博、宝石収集といった極めて非生産的な趣味に フランス国民の血税をつぎ込み、革命の一因を作ったと言われている。

さて、時代と場所は変わって、現代・ギリシャ聖域。
戦いの女神アテナは退屈していた。
彼女の聖闘士たちの活躍によって、地上を支配しようなどという野心を抱く神々は撃退され、既に1ヶ月もの長きに渡って、戦いのない平和の時が続いている。
無論、この平和の時が永遠のものだとは彼女も考えてはいなかった。
しかし、彼女が今現在 非常に退屈しているというのは、紛れもない事実だったのである。

彼女がどこぞのフランス王妃と違っていたのは、彼女には知恵と行動力があったという一事に尽きる。
戦いの女神アテナは、なにしろ知恵の女神でもあったのだ。
彼女は自らの退屈を紛らすために、自身の知恵を使うことをしたのである。

彼女が彼女の退屈を紛らせるために考えた策。
それは、おしゃれでもダンスでも賭博でも宝石収集でもなく、
「第一回アテナ杯美男子コンテストを開催するわ!」
というものだった。
「優勝者には、このアテナが手ずから賞品と最高の栄誉を授けましょう」
と、女神アテナは高らかに宣言したのである。






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