494000カウント記念小説


494000カウントをGETしてくださったのは、凛さん。


お題は、


(1) 氷河が瞬に「俺はおまえを諦めん!」と言う
(2) 邪魔になった髪を軽くまとめた瞬に氷河がドキドキする

「(1) or (2) もしくは (1) + (2)でお願いいたします」

――とのことでした。

凛さん、リクエスト、どうもありがとうございます!

ちなみに、ご存じない方のために ご説明させていただきますと、お題の「俺はおまえを諦めん!」というセリフは、PS3ゲーム『聖闘士星矢戦記』において、氷河が瞬ちゃんに言っているセリフです。
天秤宮で氷河を復活させるために その小宇宙を燃やし尽くしたせいで、身体が冷え切り 死にかけている瞬ちゃんに(本当は気を失っているだけなのかもしれませんが、氷河はそう思っている)、氷河が 固い決意と共に告げた宣言。
どういう意味に解釈しても、氷瞬的に おいしすぎるセリフ。
実際、私は 大変おいしく いただきました。

星矢は、本当に様々なメディア展開が為されていて、『公式同人』『公式パラレル』などという表現がまかり通っていたりもするコンテンツ。
その中で『ゲーム』の位置づけがどういうものなのかは、私にはよくわからないのですが(『同人』でも『パラレル』でも『外伝』でもないですしね)、何はともあれ、商業ベースに乗っているアイテムで ここまで堂々とした氷瞬展開は とても嬉しく、とても楽しく、また非常に有難いことでございました。
バンダイナムコゲームスさん、本当に本当に ありがとう!

そういう お題で書かせていただいた今回のキリリク話。
タイトルの『筒井筒』は、『伊勢物語』23段のお話から お借りしたもの。
日常生活においては、『筒井筒』は『幼馴染み』という意味で使われているかと思います。
その『筒井筒』を元に作られたのが、作中出てまいります世阿弥の『井筒』。
世阿弥の『井筒』は、『伊勢物語』の二次創作と言っていいものなのかもしれません。

さて、ところで。
幣サイトに通ってくださっている皆様方は薄々察しておいでのことと思いますが、私は、日常生活のさりげないヒトコマを切り取って話を書くということが、非常に下手なもの書きです。
というか、下手以前に、そもそも そういう話の書き方がわからない人間。
そういうお話を書ける人って、本当にすごいと常々思っています。

大なり小なり何らかの事件が起きて、それを解決し、その過程もしくは結末に意味を持たせる――ような話って(つまり、いつも私が書いているような話です)、実は誰にでも書ける話なんですよね。
でも、たとえば『瞬ちゃんが髪をかきあげる』というような さりげない行為に意味を持たせ、それで一つの話を編むというのは、誰にでもできることではないと思います。
とてもとても難しい。

実際、現実世界においても、『髪をまとめる』とか『お茶を飲む』なんていう日常的なイベントに、人生の意義を見い出すことのできる人間というのは ごく少数なのではないかと思います。
そういうことって、特に鋭い感性・感受性に恵まれた人にしかできないことだと思う。
でも、そういう優しくも鋭い感性を備えている人というのは、確かに この世界に存在している。
清少納言とかは、そういう才能に恵まれた人間の一人ですよね。

『春はあけぼの』の一文だけでも、「毎日 誰もが見ている景色に、ああいう感じ方ができるのってすごい」と感嘆する。
まあ、確かに、『香炉峰の雪』のエピソードなどでは、自分の教養をひけらかす才女気取りという批判も的外れではないような気がしないでもありませんが、やはり彼女はただ者ではない。
『春はあけぼの』=『春は明け方がいいよね〜』なんて、誰にでも書けそうな文章ですけど、決して誰にでも書ける文章ではありません。
少なくとも、私には絶対に無理。

そういう私ですので、お題(2) の『邪魔になった髪を軽くまとめた瞬に氷河がドキドキする』は、本当に どう料理すればいいのか、皆目 見当がつきませんでした。
そんなさりげない仕草に、どんな意味を持たせればいいのか、全くわからない。
もしかしたら、そういう さりげない仕草に意味を持たせようとすること自体が間違っているのかもしれませんが、それでも その行為に何らかの意味を持たせないことには、私には話を作ることができないのです。

そういう事情で、今回の話は、『邪魔になった髪を軽くまとめる』が、日常のさりげない一コマではなく、ある意味、一大イベントになっています。
こういう話が、凛さんのご希望に沿ったものではないだろうことは容易に察しがつくのですが、私は何らかの事件がないと話を作れない不器用な もの書きなので、その点 ご理解の上、ご容赦いただけましたら幸いです。

ああ、本当に、さりげない日常の出来事を優しく温かい一編のストーリーに編むことのできる才能やセンスが欲しい。
心から、そう願う私でございます。

リクエストをくださった凛さんには、図らずも書き手の力不足を大々的に露呈することになり、非常に恥ずかしく、また申し訳なく思っております。
ですが、氷河が『俺はおまえを諦めん!』ように、私も自分を諦めん!
いつか 凛さんのご希望通りの氷瞬話を書ける私になれることを願いつつ。
凛さん、リクエスト、どうもありがとうございました!





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