496000カウント記念小説


496000カウントをGETしてくださったのは、あこさん。


お題は、


遊義門院後宇多上皇
もしくは
「『夢をかなえるゾウ』の課題のどれかをこなす氷河」
のいずれか。

「(遊義門院と後宇多上皇は)和風ロミオとジュリエットです。
瞬ちゃんが遊義門院自身(皇子様に変更?)、もしくは 彼女に仕える立場の人物ということにしてください」

――とのことでした。

あこさん、リクエスト、どうもありがとうございました!
そして、本当に本当にすみません!

私は、遊義門院ネタが すごく書きたかったのです。
すーごく すーごく書きたかった。
ですが、今、本邦の朝廷の実在の人物をネタに(それも やおい話のネタに)採り上げる勇気は、私には持てるものではなかったのですね。
それというのも、今年のNHK大河ドラマ『平清盛』で、皇室を『王家』と表しただけで、ドラマ制作スタッフ及びNHKさんが 一部の方々に不敬だと猛烈批判されているという話を聞いていたから。
源氏物語のように架空の朝廷が舞台であれば問題はないのですが、遊義門院と後宇多上皇という実在した人物を(やおい話などに)出してしまったら、それはマズイ事態になりかねません。

皇室絡みは何かと危険と考えて、私は、鳥羽院と待賢門院を元ネタにして書いた『essentiality』の舞台をモンゴルに移し、源為義さん(殿上闇討)を元ネタにして書いた夢のまた夢』の舞台を現代のゼムリャフランツァヨシファ諸島(;)に変更したくらい。
過ぎる用心だとは思いますが、君子危うきに近寄らず。この用心は、しばらく 続けようと思います。

ちなみに、私は、『夢をかなえるゾウ』の方は、あこさんからリクエストメールをいただくまで、全く存じあげませんでした。
wiki を見ましたら、これは お題自体が、話のモチーフではなくテーマそのものにしてしまえるナイスな作品。
どう考えても、『夢をかなえるゾウ』をお題に話を書いた方が、安全だし楽です。
そう思ったんです。
でも、遊義門院ネタは捨て難い。というか、書きたい。
そして、書きたいものを書くために、私はこのサイトを立ち上げたのです。
でも、私は危険も冒したくない。

そんなふうに、あれこれ悩みに悩んだのですが。
書きたいものを書きたいという欲求と、身の保全を望む欲求とでは、(私の場合)前者の方が より大きく強いものだったようです。
最終的に 私は、モンゴル話やゼムリャフランツァヨシファ諸島話の時同様、舞台を本邦の朝廷以外のところに移して、遊義門院と後宇多上皇ネタで話を書く──という逃げをかますことにいたしました。

つまり、今回の話は、幣サイトでは毎度お馴染みの なんちゃってファンタジー。
舞台を西洋に移し、時代も100年200年ほどずらし、本邦の朝廷とは無関係の、日本国に似てはいるけど日本国ではない国での話。
なので、今回の話は、確かに遊義門院と後宇多上皇をネタにした話ではあるのですが、帝も皇子様も出てきません。

この話はフィクションです。
実際の国、皇室、帝、内親王とは一切関係ありません。
某N国の成り立ちが某極東の島国に似ているとか、その都の地理が某KYO都に似ているとか、もし そういったことを皆様が感じられたとしても、それは単なる偶然です。
その点、よろしく ご了承ください。
そして、あこさん、本当に申し訳ありません。

さて、そういうわけで(?)、Yu義門院とGo宇多上皇話。
あこさんも書いておいでの通り、遊義門院と後宇多上皇は和風ロミオとジュリエットな二人です。
敵対し合う二つの家の恋人同士。
ヴェローナのロミオとジェリエットと違うのは、後宇多上皇が敵対する家のお姫様を 自分ちに さらってきてしまった点。
和風ロミオは、イタリアのロミオより甲斐性と行動力があります。
とはいえ、ヴェローナのロミオとジュリエット(17歳と13歳)が、後宇多上皇と遊義門院と同じ年齢だったなら(誘拐時点で27歳と24歳)、ヴェローナの二人の方も あそこまで間抜けな悲劇を起こすことはなかったのではないかと(私は)思うのですが。

ちなみに、後宇多上皇による遊義門院略取事件は、極東の某島国の、いわゆる南北朝前夜の頃の出来事。
今より700年ほど前、南北朝分裂の萌芽はあったとはいえ、まだそこまではっきりと分裂していなかった頃の事件です。
モンタギュー家とキャピュレット家のように対立していたのは、持明院統(のちの北朝)と大覚寺統(のちの南朝)。

この対立、元はといえば、陰気な兄と陽気な弟がいて、パパ帝が陽気な弟の方を贔屓したのが始まり──といっていいかと思います。
陰気なお兄さんは、『とはずがたり』で 若紫計画を実行に移したことをバラされ、ロリコンであることが後の世までも知れ渡ってしまった後深草上皇。
陽気な弟は、実は兄にも負けない立派な色好みの亀山上皇。

無理に星矢で例えれば、アイザックが 融通の利かない陰気なお兄さん、氷河が 素直で陽気な弟。
パパ帝カミュに、
「ダイヤモンドダストを打つ時には、白鳥の舞を舞うように」
と言われても、真面目で恥を知るアイザックは、
「そんな滑稽な真似ができるか!」
と、断固として舞を舞わない。
対して、真面目で恥を知らない氷河は、
「白鳥の舞、こんな感じでどーだろー?」
と、素直に ばっさばさばさ 踊り始める。

パパ帝カミュは、当然、
「アイザックって、乗りが悪いんだよなー。白鳥座の聖衣は、氷河の方に授けよう」
ということになるわけです。
年齢的にも立場的にも実力的にも、自分が白鳥座の聖衣を手に入れられるものと思っていた お兄さんアイザックは大激怒!
「あんな調子がいいだけの間抜けな奴に キグナスの聖衣を奪われてなるものか!」
と、万世一系を揺るがす大兄弟喧嘩が始まる。

ええ。
ただの兄弟喧嘩の犠牲者なのです、和風ロミオとジュリエット。
んなくだらない対立のせいで、恋を引き裂かれたりなんかしちゃ たまりません。
Go宇多上皇がYu義門院を自分の許にさらってきたのは、大英断ではありますが、当然のことでもあったように思います。
二人は、時世の犠牲者でありながら、ある意味 勝利者でもある。
人生に試練はつきもの。
でも、どんな試練も乗り越えられないものであるはずがなく、また、打ち破ることのできない壁もありません。
まして、恋のためとなったら!
氷河と瞬ちゃんにも、二人を見習って(?)思う存分 頑張ってもらいたいものでございます。


てな感じで。
皇子様も上皇様も内親王も女院様も出てこない上、武士の時代の朝廷のあり方の難しさとか雰囲気とかも皆無な話になってしまい、あこさんには本当に申し訳ありません。
今回のキリリク話、いずれ もっと巧みな逃げ方を思いつきましたら、今度こそ皇子様が皇子様をさらう話を書いてやるー! と、固い決意を胸に抱きつつ。
あこさん、リクエスト、どうもありがとうございました!





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