『瞬ちゃんのキャンパスライフ』 「できればGAにつながるお話だと嬉しいです。 瞬ちゃんが自分の医大生時代を思い出すお話でもオッケーです。 氷河の設定はお任せします」 ──とのことでした。 みきみきさん、リクエスト、どうもありがとうございました! はい。そういうわけで、嬉し恥ずかし(?)瞬ちゃんのキャンパスライフ。 平和に明るく華やかに まいりましょー! ――となるはずだったのですが、これがまた、思いがけなく難題で。 なにしろ、私がキャンパスライフを送っていた時期が昔すぎる。 忘却の彼方と言っていいほどに、それは遠い昔の物語。 しかも、(皆様、お察しのこととは思いますが)私は ばりばりの文系人間。もちろん文学部卒。 私の母校に医学部はなく、理工系の学部はキャンパスが別。入試の時に一度 行ったことがあるきりで、入学してから卒業までの4年間、私は理工のキャンパスに足を踏み入れたことが一度もない。 つまり、私は、大学時代、理系の空気に触れたことが全くなく、ほぼ理系に縁のない日々を送っていたのです。 まあ、たとえ理系の学部に縁があって、何らかの記憶が残っていたとしても、現代のキャンパスと 私の時代のキャンパスとでは 様子が違っているでしょうから、今作執筆の役には立たなかったでしょうけれども。 ともかく、分野が違い、時代が違う。 私には、今時の医学部の様子は全く わからない。知らない。 知らないものは調べるしかありません。 なので、調べました。 今時の医学生の明るく楽しいキャンパスライフはどんなものなのか、一生懸命 調べましたとも! (今にして思えば、それが まずかった) あれこれ、どれそれと調べるにつれ、わかってきたわけです。 医学部のシビアなこと、厳しいこと、カリキュラムの過密なこと。 明るく楽しいキャンパスライフどころじゃない! サークル活動なんてしている暇もない! 医学部は、とてもコメディやギャグにできるような学部じゃない! ――ということが。 かなり本気で、『調べない方がよかった』と思いました。 ですが、調べて知ってしまったことを、知らないことにはできません。忘れることもできない。 知ってしまったことを無視して話を書こうとすれば、私は、自分の中の『これは違う』と思う思いに邪魔される。 とかとかとか、いろいろ悩みはしたのですが、とりあえず 医学生瞬ちゃん話です。 作中、大学名は明記しておりませんが、瞬ちゃんが在籍しているのは東京大学です。 エピGアサシンの沙織さんのお住まい(のモデル)は、台東区岩崎邸。 学費は 瞬ちゃんが自分で出したということでしたから、妥当なところで、都内の国公立。 となれば、東京大学か東京医科歯科大学のいずれかしかありません。 ネット上では、東大の方が種々の情報をゲットしやすかったので、東大の方にさせていただきました。 大学を決めてから、ターゲットを絞って、いろいろ調べていて、『東大生って、外野から いろんなことを言われ放題で大変そう』と、しみじみ思いました。 こんなのとか、こんなのとか(←ひどい)(それを話のネタに使う私は、もっとひどい)。 とはいえ、東大出身者って、実際 民間企業に向かない人が多いですよね(これも偏見でしょうか)。 東大生は、理系はともかく文系は、官僚になるのが 最高の適材適所という感じがいたします。 (↑ てなふうに言われ放題。すみません) それから。 今作は、ストーリーの都合で、時期が9月になっています。 季節感 完全無視で、申し訳ありません。 作中にあります、『人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである』は、サン=テグジュペリの言葉です。 医学部について、一生懸命調べましたが、なにぶん、上記に書かせていただきました通り、私は根っからの文系人間。 実際の医学部のありようとは 異なる箇所もあるかもしれません。いえ、きっとあるでしょう。 その辺りのことは、どうか ご容赦ください。 (ちなみに、医学部で専門課程に入るのは2年目からの大学が多いようですが、東大は3年目に入ってからになっているそうです) 今作を書き終えてから、ずばり『医学生』というタイトルの小説(南木佳士さん著)があることを知り、読んでみたのですが、「最初に これを読めば、あれこれ必死に調べずに済んだかも……」と思うような内容でした。 私が ネットで調べたことが ほぼ網羅されていた。 医学部って、どこの大学も ほぼ同じことを ほぼ同じように学ぶんですね(当たりまえである)。 みきみきさん、リクエスト、どうもありがとうございました。 おそらく、みきみきさんが読みたいと思われていた作品は、聖闘士としてのバトルから離れた瞬ちゃんの明るく楽しい学生生活だったろうと拝察します。 ですが、医学部のシビアさを知ってしまった私に、それは なかなか難しく。 かつ、瞬ちゃんは 他の学生の何倍も真面目に真剣に学業に勤しむであろうという推測を否定することができず、こんなことになってしまいました。 ご期待に沿えず、まことに 申し訳ありません。 到底 明るく楽しいキャンパスライフとは言えない 勤勉な医学生瞬話、寛大な お心で お許しいただけましたら幸甚に存じます。 |