バラたちの運命は、その美しさ故に様々です。
そのことを知っているバラ園のバラたちは、後輩である2号に先を越されてしまった1号を励ますことも忘れません。

「元気を出せ、1号。次はきっとおまえが選ばれるさ」
「そうとも。楽しみがちょっと先に延びただけのことだよ」

1号とて、バラの運命のなんたるかはきっちり承知しています。
彼は、優しい仲間たちに、明るい笑顔を向けました。

「おおっ! 俺は、次こそやるぜっ!」
「それでこそ、1号だよ!」

バラ園のバラたちは皆、高貴で美しいご主人様への忠誠で結ばれた仲間でした。
そこに、先輩だの後輩だのという立場の違いはありません。
大事なことは、ご主人様の闘いをいかに美しく、どれだけ華やかに飾れるかどうか、ただそれだけなのです。

華麗な2号の最期に感動したバラたちは、期待していた出番を横から奪われた形になったというのに、まるでくさった様子を見せない1号の男らしい態度にも、至極感動したのでした。



「花の命は短いが、咲いてみせます、鮮やかに」
「散ってみせます、艶やかに」
「それが薔薇の心意気!」

「いえ〜〜い !! 」× バラの数


    薔薇が咲いた
    薔薇が咲いた
    真っ赤な薔薇が〜
    薔薇は薔薇は気高く咲いて
    薔薇は薔薇は美しく散る〜♪




ご主人様のために散っていくことを無上の喜びとして、双魚宮のバラ園に咲き誇る美しいバラたち。

彼等の運命は波乱万丈。
いつも華麗にしてドラマチックなのです。




【menu】【第三話へ】