瞬に好きだと告げ、瞬からも同じ返事をもらった氷河は、その夜早速、“互いの気持ちを確かめ合った二人ならしてもよいこと”を、なるべく詳細に── 一部、自分に都合よく──瞬に教え込んだ。
その上で、瞬の了承をとりつけ、瞬を自分のベッドに招き入れる。
身に着けていたものを取り除き、氷河と瞬は、互いの肌と肌とを寄せ合った。


その、わずか数分後、だった。
氷河の部屋に、瞬の抗議の声が響いたのは。

「氷河の嘘つきっ! 僕は発育不良じゃないって言ったくせに! 氷河、僕のと全然違うーっっ !! 」
「いや、瞬、だから、これは、おまえももう少し大人になれば……」
「嘘つき、嘘つき、嘘つきーっっ !!!! 」

「頼む、瞬、怒らないで、れさせてくれーっっ !! 」



──自分の愛するものは美しく見え、自分に都合のよいことは真実に見えるのが、人間の目というものである。
氷河は瞬に嘘をついたつもりはなかった。
なかったのだが、結果的に、それが嘘になってしまったのは事実だった。


客観的事実と主観的真実の間で翻弄される、氷の聖闘士・キグナス氷河。
氷河と瞬の明日はどっちだ !?

──問題は明日よりも今夜、という噂もあります。






Fin.





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