俺は、最近、おかしい。
まるで ほんとに誰かに見付かることを望んでいるように、瞬に無理なことをさせてばかりいる。

以前も、日に一度は必ず瞬とこうしてた。
だが、それは俺のマンションか、瞬の家に行ってのこと。
こんな、いつ誰が来るかもわからないような場所で、瞬にこんなことをしたりはしなかった。


「ここに横になれ。脱がしにくい」
「あ……」

倦怠期の中年夫婦じゃあるまいし、刺激を求めて、校舎で交わるなんて馬鹿な真似をしてるわけじゃない。
瞬のことを思うだけで、俺はすぐにオカシクなれる。
瞬はそこにいるだけで、俺にとっての最高の興奮剤だった。

今の俺は、乾いた砂漠みたいなものなのかもしれない。

水が欲しい。
だが、瞬からもらった水はすぐに、俺の中にある何かに吸い尽くされてしまう。
どうすれば、その水で俺自身が潤うことができるのかが、俺にはわからなかった。


「や……やめようよ、やっぱり。ね、今日の放課後、氷河の家に行くから。誰か来たら、僕……」

ロッカールームの中央にあるミーティング用のデカいテーブルに横になれと言われた瞬は、さすがに俺の命令に従うことに躊躇を覚えたようだった。
瞬に尻込みされると、俺は意地でも瞬を俺に従わせたくなる。

「見せてやればいいと言ったろう」

テーブルの上にあったスコアブックやらタオルやらを床に払い落として、俺は瞬を抱き上げて、そこに乗せた。

「氷河……っ!」
瞬の抗議の声を、俺は無視した。
「すぐに何も言えなくしてやる」

左の手で瞬の肩をテーブルに押し付け、もう一方の手で、瞬を隠している邪魔なものを取っぱらおうとした時、

「ひょ……瞬―っっ !? 」

服より邪魔なものがロッカールームに入ってきた。

俺はすぐに、床に落ちていた瞬のブレザーを拾いあげて、瞬の身体を覆い隠した。





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