「たまには普通にしてみるか」 そう言って、俺は、瞬を床になぎ倒した。 床に両肩を押し付けられた瞬が、驚いたように瞳を見開き、そして、すがるような目で、俺を見あげる。 戸惑って、頼りなげに見える瞬の眼差し。 俺は、瞬のこの目に操られているのかもしれない。 それは、つまり――。 俺を一生操っていたいと瞬の目に思わせておくことができれば、俺が瞬を失うことはないということだ。 『おまえが欲しい』と囁いてやれば、瞬の心は喜びに震えながら、俺に寄り添ってくる。 たっぷり可愛がってやって、万一、瞬が他の誰かとこういう事態に至ったとしても、瞬が俺以外の誰かでは満足できなくなるように、俺の愛撫に慣れさせておけば、この身体だって、俺だけのものにしておけるだろう。 今では、どちらが求めているのか 操っているのか、欲しているのかもわからないくらいに、俺と瞬は絡み合っている。 Fin.
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