かわいそうな瞬。
俺を許さずにいられない瞬。

本当に昔のまま――なんだな、おまえは。

一緒にいるのが苦しかった。
そして、離れていれば、そこにあるのは虚無だけだとわかった。


「許してくれ」
「僕は――」
「許してくれ、瞬」
「僕は……」

瞬の瞳から、また新しい涙の雫が一粒零れ落ちる。

「僕は……馬鹿だ……」

強張っていた瞬の肩から力が抜けていくのがわかった。

「どうして僕は、こんなに氷河が……どうして、僕は氷河じゃないと駄目なの……」

「…………」

なぜなんだろうな。
多分、俺が、おまえじゃないと駄目なように、俺たちは、そういうふうに出来ているんだ。


俺は、瞬の愚かさに感謝して、瞬の身体を無言で抱きしめた。



       一秒だって
       離れているのが
       辛くて
       せつなくて





だから、俺は、もう二度と瞬を離さない。






Fin.





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