どこに行くにも、瞬はその小犬を抱きしめていた。
片時も離すことがなかった。
「瞬、その犬、どこから連れてきたんだよ」
「シベリアからだよ。氷河がくれたの。氷河は帰れないから、その代わりにって。可愛いでしょ」
「氷河の代わりなのか、これが?」
「そうだよ。だから、名前も氷河」
犬に仲間の名をつけて、猫可愛がりしている瞬に、星矢は微かに顔を歪めてみせた。
星矢にはそれが、なぜか、瞬らしくないことのように思えたのだ。
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