![]() けれど。 事は、なかなかそう上手くは運びません。 事が上手く運ばない理由の一つは、時々思い出したように雪のお城に帰ってくる、瞬の兄たちでした。 もちろん、瞬の兄である一輝たちも、瞬たちと同じように15人の小人です。 一輝たちは、事あるごとに、小人の瞬たちが普通サイズの瞬に合体し、更に氷河と合体するのを邪魔しようとするのです。 そして、もう一つの理由。 これは、一輝たちの邪魔なんかものの数にも入らないくらい深刻な理由です。 すなわち。 15人の瞬たちの心が一つにならないと、小人たちは普通サイズの瞬に合体することはできません。なのに、15人の瞬たちが15人とも氷河を大好きなのが災いして――小人たちはいつもちょっとだけ対抗意識に燃えている――のです。 たとえば、15人の小人たちはお遊戯が大好き。 15人は時々、氷河の前でお遊戯発表会をします。 その様子はとてもとても可愛らしいのですが、その後がいけません。 瞬1号 「氷河、見てー。僕たち上手でしょー !? 」 瞬2号 「氷河に見せるために、一生懸命練習したのー!」 瞬3号 「僕なんか、ご飯も食べないで練習したんだよー」 瞬4号 「僕だって食べてないもーん」 瞬5号 「みんな、ご飯食べなかったのー」 瞬6号 「ケーキ食べて練習したのー」 瞬7号 「氷河、誰が一番上手だったー?」 瞬8号 「僕だもーん」 瞬9号 「違うよ、僕だよぉー」 瞬10号「いちばん可愛いのは僕だよねー」 瞬11号「嘘だーい。それは僕だもーん」 瞬12号「違うよー、いちばんは僕だもーん」 瞬13号「僕の方が上手で可愛いもーん」 瞬14号「そんなの僕に決まってるよぉ !! 」 瞬15号「僕、僕、僕、僕、ぜったい、僕っっ !! 」 ――と、こんな感じなのです。 氷河は、 「……おまえら、いったい、いつになったら合体できるようになってくれるんだ……」 とぼやきながら、15人を仲良くさせるために、ひーこら苦労することになるのでした。 |