ところが。
その様子をお部屋のテーブルの足許にいた15号が見てしまって、大ショック。

おんなじ部屋のそんなに近くに15号がいたことに、氷河は全然気付いていなかったのです。
だって、15号は、小さな小さな――氷河の手の平に載るくらい小さな――小人でしたから。


「氷河もみんなも僕なんかいない方がいいんだ……」

自分だけほっぺに“ちゅう”をしてもらえなかった15号の悲しみは、それはそれは深くて激しいものでした。
テーブルの上にきちんと14人並んで幸せそうにもじもじしている仲間たちを、涙に潤んだ瞳で見詰め、それから15号はこっそりとその部屋を出たのです。
そして、そのまま、雪のお城を出たのです。

仲間たちに疎んじられ、自分だけ氷河にちゅうをしてもらえないのなら、15号は生きている甲斐もありませんでした。


15号は、深い悲しみを胸に、氷河や仲間たちと暮らしてきた雪のお城を後にしたのです。
>






【next】