2人で迎える夜に、朝はいつもやってくる。 それは一人で目覚めるものよりも、安堵と希望を与えてくれるものだったので。 闇の中のほうが落ち着く自分を自覚しながらも、闇を照らす朝日の到来を、いつしか 待つようになっている自分を、氷河はまだ自覚していない。 「さて。流した汗と、涙の分くらいは補給させてやんねぇとな」 と、これまた瞬が聞いたら「セクハラものだ」と訴えかねない独り言をつぶやきながら、 氷河は台所でコップに冷水を満たした。 また、朝は来るけれど。そして、闇は来るけれど。 瞬と迎えるものならば悪くない、と氷河は思う。 そして、瞬も自分と同じ思いでいてくれればいい、と願う。 夜の静けさと暗闇は、まだ静かに氷河の身を包んではいたが。 そこにはかつての世界を拒絶させていた心の孤独はなく、ただ闇による安息を楽しんでいるようだった。 |